公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

季節の花(東京都薬用植物園)

ハッカ

(シソ科)

 

撮影日 2021-09-20

植物のある場所 漢方薬原料植物区

ハーブとして用途の多いミント類のうち、古くからわが国に生育する種類です。ヨーロッパ産のミント類(ペパーミント、スペアミント、アップルミントなど)が通常、茎の先端に花穂を生じるのに対し、本種は葉の付け根に段々に開花するのが、見た目上の大きな違いです。
自生のハッカは郊外や山間部の水田、水路など水辺を好んで繁茂します。なお栽培時は普通の畑地でも強健に育ち、匍匐茎を盛んに出して広がるため、広がり過ぎないように地中に仕切りを入れたり、鉢栽培にするなどの工夫が必要です。
ハッカ属は形態的に似通ったものが多く、交雑も起こしやすいため、その分類には多くの見解、ときには混乱もみられます。
日本薬局方ではハッカの学名について、ユーラシアに分布するヨウシュハッカの変種 Mentha arvensis var. piperascens としていますが、新しい書籍等では北米大陸に分布する M. canadensis と同種であるとの見解をとり、狭義にはその変種 var. piperascens とする記載が多くなっています。
精油成分はl-メントールを主成分とし、スーッとした清涼感が特徴です。かつて北海道北見地方で多く栽培され、蒸留して得たハッカ脳、ハッカ油を輸出していたことでも知られています。
地上部を陰干ししたものを生薬「ハッカ」として用います。主要成分が揮発性であるため、新しいものほど良品とされます。
【生薬名】ハッカ(薄荷)
【薬用部分】地上部
【用途】漢方処方用薬:駆風・発散・清涼・興奮作用(加味逍遙散、荊芥連翹湯、響声破笛丸ほか)
    およびl-メントール(ハッカ脳)、ハッカ油の製造原料、家庭薬、入浴剤、香料など
【成分】テルペノイド類(l-メントール、l-メントンほか)、精油類、酢酸メチルなど
【分布】日本、東アジア

新常用和漢薬集「ハッカ」

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