公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

季節の花(東京都薬用植物園)

カンレンボク

(ヌマミズキ科)

頂花序は雄性期を過ぎて雌性期、側花序はまだ蕾

撮影日 2022-08-02

植物のある場所 有用樹木区(ケシ・アサ試験区奥)

頂花序の開花が終わる頃、側花序(雄花)が咲く

中国原産の落葉高木です。夏の暑い盛りに白い球状の花序をつけています。
カンレンボクの花は直径2cmほどの球状の頭状花序で、これが2~4個、集散状に集まっています。このうち最初に咲く「頂花序」はおしべ先熟型の両性花、そのほかの「側花序」は雄花から構成されています。
この植物がつくる「カンプトテシン」は、DNAのらせんをほどく酵素「DNAトポイソメラーゼI」の働きを止めて、DNAの複製、ひいては細胞分裂を阻害する性質を持ちます。
その性質を保ちつつ、水への溶解性などを改善した誘導体であるイリノテカン等が抗がん剤として実用化されています。
興味深いことに、カンレンボク自身のDNAトポイソメラーゼIは、一部のアミノ酸配列が変化してカンプトテシンへの耐性を備えています。
頂花序は結実し、晩秋には長さ3cmほどの棒状の果実が球状に集まった果序となります。多くの果実をつけることから、子孫繁栄・喜びの木として別名をキジュ(喜樹)といいます。
【別名】キジュ(喜樹)
【薬用部分】果実、根
【用途】植物体からカンプトテシンを単離し、抗がん剤イリノテカンの合成原料とする。
【成分】カンプトテシン、ベノテルビン
【原産地】中国

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