公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

季節の花(東京都薬用植物園)

ニラ

(ユリ科 新体系ではヒガンバナ科)

 

撮影日 2021-08-17

植物のある場所 漢方薬原料植物区

ニラは3,000年以上前に中国で栽培化され、日本へはごく古い時代(有史以前とも)に伝えられたと考えられています。畑で栽培されるほか、各地の路傍や川の土手などに野生化した個体もよく見られます。
葉や、夏に立ち上がる花蕾が野菜として身近に利用されるとともに、葉には止血や解毒作用、種子に強壮や鎮痛などの作用があることが知られ、薬用にもされます。
ニラ、ノビル、ラッキョウなどのネギ属植物は、最近のAPG III/IV分類体系ではヒガンバナ科ネギ亜科として分類されています。
【薬用部分・生薬名】
 種子:キュウシ(韮子)
 茎・葉:キュウハク(韮白)、キュウサイ
【用途】
 種子は、漢方処方の滋血潤腸湯(じけつじゅんちょうとう)に配剤され、民間で強壮・止瀉薬とされる。
 葉は皮膚疾患などに外用されることがある。

ニラは栽培が容易で、家庭菜園や庭などでも手軽に収穫できますが、この場合、スイセンなどの有毒植物を間違って採ってしまうことによる食中毒事故の危険があります。APG体系では同じヒガンバナ科に属する両者ですが、スイセンやヒガンバナなどがもつ有毒のアルカロイド(リコリン、ガランタミンなど)はネギ属植物には含まれません。
ニラには特有の匂いがありますが、スイセンなどが混入した状態で加熱調理してしまうと、もはや見分けは困難です。花のない時期、葉だけの状態では特に似ており注意が必要ですので、ニラと、スイセンやヒガンバナなどは近い場所へ植えないようにするなど、安全対策を講じましょう。

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