季節の花(東京都薬用植物園)
ヌルデ
(ウルシ科)
撮影日 2025-09-22
植物のある場所 有用樹木区
ウルシ科の中では比較的かぶれにくい樹種といわれますが、敏感な方は注意された方が良いでしょう。
花は夏の終わりから秋に咲き、微細なクリーム色の花が、大きな円錐花序となって、各枝の先につきます。
晩秋にできる果実は、表面にリンゴ酸カルシウムが白く析出します。酸味〜塩味を示すため食塩の代用とした地方もあり、別名の由来となっています。
本種の葉の大きな特徴として、サブ写真に示すように、羽状複葉の葉軸にヒレのような葉状の組織が生じます。植物形態学では「翼」(よく)と呼びます。この特徴を有する樹木は、関東周辺では他に半落葉のフユザンショウくらいですので、羽状複葉をつけるたくさんの植物の中でも、容易に区別ができます。
しばしば葉に大きな膨らみができますが、これはヌルデシロアブラムシの寄生によって形成される虫癭(ちゅうえい、虫こぶ)で、五倍子(ごばいし、ふし)と呼ばれています。
五倍子は多量のタンニンを含むため、酢酸等に鉄を溶かし、そこへ五倍子の粉末を混ぜて反応させると黒い染料となります。明治期以前には「お歯黒」を染めるのに用いられました。
【分布】北海道から沖縄、朝鮮半島、中国大陸、ヒマラヤ
【別名】フシノキ、シオノキ