公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

季節の花(東京都薬用植物園)

キダチタバコ

(ナス科)

有毒植物

 

撮影日 2025-09-12 見頃!

植物のある場所 製薬原料植物区

南アメリカ原産の低木で、1-2mあるいはそれ以上の高さに育ちます。ある程度の耐寒性があり、やや寒冷地では冬場に地上部が枯れるものの、枯れずに残った地下部から翌春に再び芽生え、多年草のように育ちます。全株に有毒なアルカロイドのアナバシンを含みます。アナバシンはニコチンの構造異性体で性質が似ており、摂取により、しびれ、脱力感、嘔吐、呼吸困難等を生じます。
本種の種子が微細で、発芽後の成長が早く、背が高くなることから、聖書に登場する「からし種」のことと誤って解釈された経緯があります。本来、聖書の「からし種」はアブラナ科の植物で、おそらくクロガラシと推定されています。
この誤った解釈は、わが国に限ったことではなく、諸外国でも「からし種(Mustard seed)」の名称で、本種の種子を頒布している事例があり、それを見聞したり種子を入手した人々により、わが国にも広まった経緯があるようです。
このため、自宅等で育てた本種をカラシナ類と思い込み、葉などを食したことによる中毒事例が、国内でも起きているため要注意です。本種は南米原産であって、聖書の時代のパレスチナや近隣地域には分布しなかった植物であり、後の時代になって移入されたものです。
【原産地】南アメリカ
【有毒部位】全株
【有毒成分】アナバシン(ニコチン類似アルカロイド)

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