季節の花(東京都薬用植物園)
キブシ
(キブシ科)
撮影日 2026-03-30 見頃!
植物のある場所 ロックガーデン
早春に黄緑色の花序をまっすぐに垂らし、慣れればすぐキブシと判る、独特の見た目をしています。花序の長さは個体差が著しく、短い個体では5cmほど、とくに長い個体では15cm以上の長さに達します。
フシ(五倍子)とは、ヌルデ(ウルシ科)の葉にアブラムシの一種が寄生して形成される虫癭(虫こぶ)で、タンニンに富み、鉄分との反応で黒色を呈することから、黒色インクや、江戸時代以前の既婚女性の「お歯黒」に用いられました。ただ、五倍子は安定して手に入らない貴重品であったため、入手容易なキブシの果実が、廉価な代用品として多く用いられました。
キブシは変化に富む多形な植物で、葉身が小型のヒメキブシ、葉裏に毛の多いケキブシ、島嶼型・海岸型で、大柄で葉が厚く、花序の長いハチジョウキブシやエノシマキブシなど、多くの種内分類群が命名されてきましたが、中間型も多くみられ、近年では、いずれも「キブシ」1種の変異の範囲内と見なす見解が有力となっています。ただし、小笠原固有種のナガバキブシは、地理的隔離により遺伝的に分化した別種と見なされています。
キブシ科は、キブシ属ひとつだけからなる単形科で、ヒマラヤから中国大陸、日本にかけての東アジアに9種ほどが知られる、小さなグループです。
【分布】北海道(渡島半島)から本州・伊豆諸島・四国・九州・南西諸島(奄美大島・徳之島)まで


