公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

季節の花(東京都薬用植物園)

カラスビシャク

(サトイモ科)

 

撮影日 2022-05-09

植物のある場所 漢方薬原料植物区ほか

畑などに生育する多年草で、地下に塊茎(イモ)をもちます。塊茎を調製したものを生薬名ハンゲ(半夏)と称し、漢方における重要生薬です。ときに植物そのものもハンゲと呼ばれることもあります。
写真にみえる蛇の鎌首のようなものが花であり、花序を覆う仏炎苞と、突出した花序の付属体を捉えています。
葉の形は変化が多く、小さな個体ではハート形の単葉、やや大きな個体では3裂して矢じり状になり、開花に至る大きな個体では長楕円形の小葉3個からなる三出複葉になります。また葉柄の途中と、三出複葉の葉身基部に珠芽(むかご)を生じます。塊茎、むかご、種子のいずれでも繁殖することから、畑地における難防除雑草として知られる半面、植えて栽培しようとすると素直に育たない場合もあるなど、野草的性質を強く示す薬用植物のひとつです。
他の多くのサトイモ科と同様、全草に刺激性があって、食べれば口内や喉の痛みや腫れを生じるため、有毒植物に位置づけることもあります。処方に際してはショウキョウあるいはカンキョウとともに用いると、刺激性を減じて効果が得られることが知られています。
近縁種に、全体が大型で珠芽をつくらないオオハンゲがあり、こちらは園内林地などで見ることができます。なおオオハンゲは、生薬ハンゲの基原植物として収載されておりません。
【生薬名】ハンゲ(半夏)
【薬用部位】コルク層を除いた塊茎
【用途】鎮咳、去痰、鎮吐など(半夏厚朴湯、半夏瀉心湯ほか)
【成分】刺激成分(ホモゲンチジン酸ほか)、フラボノイド、アミノ酸、多糖類など
【分布】北海道~沖縄、朝鮮半島、中国

新常用和漢薬集「ハンゲ」

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