公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

季節の花(東京都薬用植物園)

ウバユリ

(ユリ科)

 

撮影日 2023-08-05

植物のある場所 林地

落葉樹林、ときに針葉樹林の薄暗い林床に生育する多年草で、真夏の林でひっそりと開花します。
花は薄緑色であまり開かず、多くは画像のとおり花被片内側に暗褐色の斑点がみられますが、斑点の薄い個体や、全くない個体もあります。
開花する頃に葉が枯れてほとんど無くなることがあり、葉がない→歯がないの掛け言葉から【姥百合】の和名がついたと言われています。もっとも、木蔭で直射日光の当たらない場所では、開花時にもしっかりと葉が残っている個体も多く観察できます。
花が終わると、卵型~ラグビーボール形の蒴果が育ってきます。開花時は横向きですが、結実すると上向きになります。蒴果は冬季になると3つに裂開し、淡褐色の薄い膜状の多数の種子が現れ、冬の強風に乗って種子散布されます。
植物園のある関東地方南部では、高さ1mくらいまでで花の数が1〜5個程度の個体が多く見られます。日本海側では、さらに北上するにつれ大型化する傾向が顕著で、北日本(本州中部以北と北海道)や千島に分布するものは高さ1.5から2mに達し、花も概ね10個以上つくものが多く、このような大型のものは変種のオオウバユリとされています。
ウバユリ属 Cardiocrinum は東アジアからヒマラヤに分布する3種ほどが所属する小さな属です。単子葉植物には珍しく葉脈が網状脈となる特徴がありますが、そのほかの性質はユリ属 Lilium との共通点も多く、ユリ属へ含める見解もあります。
【分布】本州宮城県・石川県以西、四国、九州(これよりも北方にはオオウバユリが分布)

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