公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

季節の花(東京都薬用植物園)

カンレンボク

(ヌマミズキ科)

 

撮影日 2023-07-22

植物のある場所 有用樹木区(ケシ・アサ試験区奥)

 

写真上は、最近花をつけ始めた、若いカンレンボクの花です。直径2cmほどの球状の頭状花序で、木が若いためか、まだ両性花ではなく雄花かもしれません。
樹齢を重ねた成木では、頂花序がおしべ先熟型の両性花(右写真)、側花序が雄花序となります。
この植物がつくる「カンプトテシン」は、DNAのらせんをほどく酵素「DNAトポイソメラーゼI」の働きを止めて、DNAの複製、ひいては細胞分裂を阻害する性質を持ちます。
その性質を保ちつつ、水への溶解性などを改善した誘導体であるイリノテカン等が抗がん剤として実用化されています。
興味深いことに、カンレンボク自身のDNAトポイソメラーゼIは、一部のアミノ酸配列が変化してカンプトテシンへの耐性を備えています。
頂花序は結実し、晩秋には長さ3cmほどの棒状の果実が球状に集まった果序となります。多くの果実をつけることから、子孫繁栄・喜びの木として別名をキジュ(喜樹)といいます。
【別名】キジュ(喜樹)
【薬用部分】果実、根
【用途】植物体からカンプトテシンを単離し、抗がん剤イリノテカンの合成原料とする。
【成分】カンプトテシン、ベノテルビン
【原産地】中国

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