公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

季節の花(東京都薬用植物園)

ツルドクダミ

(タデ科)

 

撮影日 2022-10-04

植物のある場所 漢方薬原料植物区

タデ科に属する、つる性多年草です。心形の葉がドクダミにやや似ていることによる命名ですが、ドクダミとは科のレベルで異なり、写真の通り花の様子もまったく異なります。ですのでドクダミ特有の匂いは本種にはありません。
江戸時代、長崎で薬用として導入され、その後各藩の大名屋敷などで栽培されました。当時は強精効果が信じられ、跡継ぎ問題への切り札として期待されて広まったようですが、実際にはそこまでの劇的な効果は無かったようです。そのような歴史的経緯により、現在でも各地の都市部、とりわけ城や屋敷のあった古くからの市街部を中心に、野生化したツルドクダミがしばしば観察できます。
生薬名の何首烏(カシュウ)は、という人物ののように黒くなった(=白髪が治った)という中国の故事伝承に基づく名称で、白髪や抜け毛の改善効果が古くより知られ、現在市販される多くの外用育毛剤にも配合されています。
なお、カシュウの服用により肝機能の異常・黄疸などを生じる疑いが国立医薬品食品衛生研究所より2006年に示されており、服用(内服)の際は医師・薬剤師などへの相談が推奨されます。
【生薬名】カシュウ(何首烏)
【薬用部分】根茎
【用途】漢方処方用薬:貧血、不眠(当帰飲子)
【成分】アントラキノン類、スチルベン配糖体等
【原産地】中国、台湾原産、日本各地に帰化

新常用和漢薬集「カシュウ」

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