季節の花(東京都薬用植物園)
クチナシ
(アカネ科)
撮影日 2021-12-20
植物のある場所 漢方薬原料植物区
果実は熟しても裂開しないため、「口無し」が和名の由来とされています。野鳥たちは初冬のうちはクチナシの果実には見向きもしませんが、1〜2月頃になるとついばむようで、かじられて「口有り」となった果実を見かけるようになります。
果実を薬用とするほか、栗の甘露煮や栗きんとん、沢庵漬、変わったところでは中華麺などを黄色く着色する用途にも用いられています。クチナシ果実の色素はサフランの項でもご紹介したクロシンで、カロテノイドには珍しい水溶性色素です。また同じく果実に含まれるゲニポシドを出発物質として、赤色・青色の食品用色素も製造されています。
果実ができるクチナシは、6つに分かれた花冠をもつ一重咲き品種です(右写真)。園芸で好まれる八重咲きクチナシは結実しません。
【生薬名】サンシシ(山梔子)
【薬用部分】果実。ときに湯通しまたは蒸したものを用いる
【用途】漢方処方用薬:消炎・排膿・清熱・鎮静(茵蔯蒿湯、黄連解毒湯ほか)
【成分】イリドイド配糖体(ゲニポシド)、カロテノイド色素(クロシン)など
【分布】本州(静岡県以西)・四国・九州・沖縄、台湾、中国大陸中南部ほか