公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

季節の花(東京都薬用植物園)

イヌサフラン

(ユリ科 新体系ではイヌサフラン科)

有毒植物

 

撮影日 2020-09-08

植物のある場所 製薬原料植物区、有毒植物区

地中に鱗茎(球根の一形態)をもつ多年草で、鱗茎は水や土がなくても秋が来ると開花する性質があり、観賞用として栽培されます。八重咲きの園芸品種も栽培されます。
開花時には葉がありません。葉は花の後、11月頃から出て、冬を越して翌年5-6月頃まで光合成を続けます。
本種は有毒植物であり、葉を山菜のギョウジャニンニクやウルイ(ギボウシ類)に、また鱗茎をタマネギと間違えて食した事による中毒事例が複数発生しています。
イヌサフランの誤食は重篤化し生命にかかわる率が高いため、厳重に注意する必要があります。
本種の成分、コルヒチンは、痛風発作の症状抑制や染色体の倍化などの用途に使われますが、これは細胞内の微小管形成を阻害する作用によるもので、同時に細胞・組織を傷害する強い毒性を示します。
またサフラン(アヤメ科)とは名前が似ているだけで、代用にはならないので要注意です。
なおDNAに基づく分類体系ではイヌサフラン科とされています。切花に用いるグロリオサもイヌサフラン科で、やはり誤食すると危険な有毒植物です。
【薬用部分】種子、鱗茎
【生薬名】コルヒクム子(種子)、コルヒクム根(鱗茎)
【用途】痛風の治療、植物染色体倍加に用いられるコルヒチンの製造原料
【有毒成分】アルカロイド(コルヒチン)
【原産地】ヨーロッパ中南部から北アフリカ

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