季節の花(東京都薬用植物園)
ウラルカンゾウ
(マメ科)
撮影日 2024-05-18
植物のある場所 漢方薬原料植物区
葉は奇数羽状複葉、花はおもに初夏にみられ、フジの花を小型にして上向きにしたような、明紫色の総状花序を形成します。
日本薬局方では、生薬「カンゾウ」の基原植物として、ウラルカンゾウおよびスペインカンゾウを規定しています。これらのうち本種ウラルカンゾウは、繊維質に富み、甘味が強く苦味が弱い等の評価により、生薬として好んで用いられる種類です。
カンゾウは、漢方薬方のおよそ4分の3に配剤され、使用量の重量ベースでは最も多い生薬ですが、ほぼ全量を輸入に頼っており、薬用植物資源の安定確保の面で課題を残しています。
2020年度の統計では、国内全使用量約2,000tのうち120kgほどながら、ようやく国産のカンゾウが流通するようになっています。
東京生薬協会も、薬用植物国内栽培事業を通じて、さらなる国産化に取り組んでおります。
【生薬名】カンゾウ(甘草)
【薬用部分】根およびストロン(匍匐茎)
【用途】漢方処方用薬:滋養・調和・緩和・消炎・去痰作用(葛根湯、芍薬甘草湯、桂枝湯、人参湯など多くの処方に配剤)。生薬として以外に、医療用医薬品の原料としても用いられる。食品の甘味料としての需要も多い。
【成分】トリテルペン配糖体(グリチルリチン酸など)、フラボノイド類(リクイリチンなど)ほか
【原産地】中国東北部、モンゴル、シベリア