公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

新常用和漢薬集

名称
ソヨウ (紫蘇葉)
第十八改正日本薬局方 収載
別名 蘇葉  
英名 Perilla Herb 生薬ラテン名 PERILLAE HERBA
ソヨウ
生薬名:ソヨウ
シソ
植物名:シソ
基原 シソPerilla frutescens Britton var. crispa W. Deane (Labiatae シソ科) の葉及び枝先
定量するとき,換算した生薬の乾燥物に対し,ペリルアルデヒド0.07%以上を含む
調製 夏の開花期直前全草を引き抜くか,枝梢を摘みとり,葉を分離して乾燥する.
産地 日本(岩手,高知,鳥取,栃木県),中国(湖南,湖北,四川,江蘇,河北,浙江,河南省など)で栽培
性状 通例,しわがよって縮んだ葉からなり,しばしば細い茎を含む.葉は両面とも帯褐紫色,又は上面は灰緑色 ~ 帯褐緑色で下面は帯褐紫色を呈する.水に浸してしわを伸ばすと,葉身は広卵形 ~ 倒心臓形で,長さ5 ~ 12 cm,幅5 ~ 8 cm,先端はややとがり,辺縁に鋸歯があり,基部は広いくさび状を呈する.葉柄は長さ3 ~ 5 cmである.茎及び葉柄の横切面は方形である.葉をルーペ視するとき,両面に毛を認め,毛は葉脈上に多く,他はまばらである.下面には細かい腺毛を認める.
特異なにおいがあり,味は僅かに苦い.
成分 精油:perillaldehyde(日局18確認,定量), l-limonene, α-pinene, β-pinene, 3-octanol, 1-octen-3-ol, linalool, caryophyllene, α-farnesene 8-p-menthen-7-ol, l-perillylalcohol
アントシアン配糖体:shisoninなど
フラボン類:apigenin, luteolin 及びそれらの配糖体
その他:caffeic acid, rosmarinic acid など
選品 精油含量が高く,特有のにおいの強いものが良い.
適応 去痰・鎮咳・健胃・発汗・解熱・解毒(抗アレルギー)作用があり,感冒,気管支炎,神経痛,不眠,魚蟹中毒の嘔吐腹痛の薬方に配合される.
漢方
処方例

藿香正気散(かっこうしょうきさん),参蘇飲(じんそいん)
構成生薬のうち,蘇葉,陳皮の組み合せにより,気分のふさがり,胃腸機能の悪いとき,風邪気味のときに使用される.

香蘇散(こうそさん)
構成生薬のうち,蘇葉,香附子の組み合わせにより,気分を爽快にして自律神経を調える.

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
構成生薬のうち,蘇葉,厚朴半夏の組み合わせにより,気逆気鬱,湿性咳および胸部の不快感を治す.

神秘湯(しんぴとう)
構成生薬のうち,蘇葉,麻黄杏仁の組み合わせにより,鎮咳・去痰作用で感冒,喘息,咳を治す.

貯法 密閉容器
備考 近縁植物のエゴマは葉が厚く,緑色で茎や花序に長い軟毛が多く,シソと異なるにおいがある.
さらに,レモン臭のあるレモンエゴマが日本各地で野生している.
シソには遺伝的に異なる6系統があり,主成分が perilla ketone のものがある.
これには気管支に好ましくない作用があるのでソヨウには調製すべきでない.
その他のシソとしてはチリメンジソ,カタメンジソ,アオジソ,チリメンアオジソなどがある.
チリメンジソは葉の両側とも暗紫色で,しわがありちぢれる.
カタメンジソは上面緑色,下面紫色.
アオジソ,チリメンアオジソでは両面緑色で,チリメンアオジソはしわがありちぢれる.
通例,アオジソ,チリメンアオジソは使用しない.

情報更新日 2022/05/16

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