公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

新常用和漢薬集

名称
バクモンドウ (麦門冬)
第十八改正日本薬局方 収載
英名 Ophiopogon Root 生薬ラテン名 OPHIOPOGONIS RADIX
バクモンドウ
生薬名:バクモンドウ
ジャノヒゲ
植物名:ジャノヒゲ
基原 ジャノヒゲ Opiopogon japonicus Ker-Gawler (Liliaceae ユリ科)の根の膨大部
調製 5月頃に掘り取り土を振り落とし,根の膨大部のみを取り,水洗後乾燥する(長麦〔ちょうばく〕).または,水に浸した後,中心柱を抜き去り,両端を圧縮し,楕円形にして乾燥する(丸麦〔まるばく〕).
産地 中国(浙江,四川省など)
性状 紡錘形を呈し,長さ1 ~ 2.5 cm,径0.3 ~ 0.5 cm,一端はややとがり,他端はやや丸みを帯びる.外面は淡黄色 ~ 淡黄褐色で,大小の縦じわがある.折るとき皮層は柔軟であるがもろく,中心柱は強じんである.皮層の折面は淡黄褐色を呈し,やや半透明で粘着性がある.
僅かににおいがあり,味は僅かに甘く,粘着性である.
成分 ステロイド配糖体:ophiopogonin A, B, C, D
その他:oligosaccharide, ホモイソフラボノイド, 粘液質,ボルネオール誘導体,多糖類など
選品 潤いがあり,淡黄色で柔軟で肥えたものが良い.
適応 鎮咳,去痰,止渇,滋養強壮作用を期待する薬方に配合される.
漢方
処方例

麦門冬湯(ばくもんどうとう),竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)
構成生薬のうち,麦門冬,人参半夏の組み合わせで鎮咳(肺熱)の作用が有る.

清肺湯(せいはいとう)
構成生薬のうち,麦門冬,当帰,貝母(ばいも)の組み合わせで鎮咳(肺寒)の作用がある.

滋陰降火湯(じいんこうかとう)
構成生薬のうち,麦門冬,天門冬の組み合わせで慢性の咳や粘稠の痰を取る作用がある.

清暑益気湯(せいしょえっきとう),生脈散(しょうみゃくさん),炙甘草湯(しゃかんぞうとう)
構成生薬のうち,麦門冬,人参の組み合わせで不整脈,全身倦怠感,食欲不振などを改善する作用がある.

清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
構成生薬のうち,麦門冬,蓮肉,地骨皮の組み合わせで慢性的な煩燥(はんそう)や不眠,口渇,排尿異常に作用する.

貯法 密閉容器
備考 中国では Ophiopogon chekiangensis を基原とする杭麦冬(こうばくとう)もある.
同類植物にナガバジャノヒゲ O. ohwii,オオバジャノヒゲ O. planiscapus があり,類似生薬に大葉麦門冬:ヤブラン Liriope platyphylla(ユリ科)があるが,これらは該当しない.
民間薬:ヤブランの塊根を暑気当りや乳汁不足に使用する.

情報更新日 2022/08/02

▲このページの最上部へ