公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

新常用和漢薬集

名称
サンシシ (山梔子)
第十八改正日本薬局方 収載
英名 Gardenia Fruit 生薬ラテン名 GARDENIAE FRUCTUS
サンシシ
生薬名:サンシシ
クチナシ
植物名:クチナシ
基原 クチナシGardenia jasminoides Ellis(Rubiaceae アカネ科)の果実で,ときには湯通し又は蒸したもの
定量するとき,換算した生薬の乾燥物に対し,ゲニポシド2.7%以上を含む
調製 完熟果実を摘み取り,果柄及びがくを除去して,湯通し或いは蒸した後,乾燥する.
産地 中国(湖南,湖北,浙江,四川,江西省など).
性状 ほぼ長卵形 ~ 卵形を呈し,長さ1 ~ 5 cm ,幅1 ~ 1.5 cmである.外面は黄褐色 ~ 黄赤色で,通例6本,まれに5本又は7本の明らかな稜線がある.一端にはがく又はその跡があり,他端には果柄を付けているものもある.果皮の内面は黄褐色を呈し,平らで艶がある.内部は2室で,黄赤色 ~ 暗褐色の胎座に種子の団塊が付く.種子はほぼ円形で扁平,長径約0.5 cmで,黒褐色又は黄赤色である.
弱いにおいがあり,味は苦い.
成分 イリドイド配糖体:geniposide(日局18確認), geniposidic acid, 10-acetylgeniposide, genipin 1-β-gentiobiosideなど
カロチノイド色素:crocin
p-hydroxycinnamic acid 誘導体など
選品 小型で丸く,内部の赤黄色のものが良い.
適応 消炎・清熱・精神安定作用があり,充血,吐血,煩燥,黄疸,炎症,高血圧などを改善する薬方に配合される.
漢方
処方例

茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)
構成生薬のうち,山梔子,茵蔯蒿の組み合わせにより,肝炎,胆嚢炎などによる黄疸,全身のかゆみ,口内炎などを治す.

黄連解毒湯(おうれんげどくとう),温清飲(うんせいいん)
構成生薬のうち,山梔子,黄連の組み合わせにより,熱のための精神不安,不眠,諸出血を治す.

加味逍遥散(かみしょうようさん)
構成生薬のうち,山梔子,牡丹皮との組み合わせにより,更年期障害ののぼせ,焦燥感を改善する.

梔子鼓湯(しししとう)
構成生薬のうち,山梔子,香鼓(こうし)の組み合わせにより,熱のために生ずる煩悶(はんもん),煩燥などの不快な症状や不眠を治す.

貯法 密閉容器
備考 梔子とも呼ばれる.
第17改正日本薬局方 第一追補で基原表記に修正があった.「ときに湯通し又は蒸したものである.定量するとき,換算した生薬の乾燥物に対し,ゲニポシド3.0%以上を含む.」の記載が付加された.
基原植物のクチナシGardenia jasminoides は本来コリンクチナシの学名で,果径5 cm以上のものをクチナシG. jasminoides forma grandifloraとするが,中間種があって区分がはっきりできない.
また,中国ではG. jasminoides var. grandiflora を水梔子(すいしし)の基原植物としており,母種の G. jasminoides をクチナシとして記載された.
近年では,水梔子はG. jasminoides forma longicarpa と命名されている.
飲食物の天然黄色着色料の原料として需要が多い.

情報更新日 2022/05/16

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