公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

新常用和漢薬集

名称
インチンコウ (茵蔯蒿,茵陳蒿)
第十八改正日本薬局方 収載
英名 Artemisia Capillaris Flower 生薬ラテン名 ARTEMISIAE CAPILLARIS FLOS
インチンコウ
生薬名:インチンコウ
カワラヨモギ
植物名:カワラヨモギ
基原 カワラヨモギ Artemisia capillaris Thunberg (Compositae キク科)の頭花
調製 8 ~ 9月頃,茎ごと刈り取り,陰干し,または温風乾燥後,頭花を集める.
産地 日本(長野県,四国など),中国(安徽,湖北,江蘇,陝西省など).
性状 卵形~球形の長さ1.5 ~ 2 mm ,径約2 mmの頭花を主とし,糸状の葉と小花柄からなる.頭花の外面は淡緑色 ~ 淡黄褐色,葉の外面は緑色 ~ 緑褐色,小花柄の外面は緑褐色 ~ 暗褐色を呈する.頭花をルーペ視するとき,総苞片は3 ~ 4列に覆瓦状に並び,外片は卵形で鈍頭,内片は楕円形で外片より長く,長さ1.5 mm,内片の中央部は竜骨状となり,周辺部は広く薄膜質となる.小花は筒状花で,頭花の周辺部のものは雌性花,中央部は両性花である.そう果は倒卵形で,長さ0.8 mmである.質は軽い.
特異な弱いにおいがあり,味はやや辛く,僅かに麻痺性である.
成分 クマリン誘導体:esculetin, 6,7-dimethoxycoumarin(日局18確認)
イソクマリン誘導体:capillarisin
capillarin, 有機酸, フェノール類, 精油など
選品 新鮮で,粒が揃っていて未熟頭花が混入せず,独特のにおいの強いものが良い.
適応 利胆・消炎作用があり,炎症性黄疸,流行性肝炎,じんましんを治療する薬方に配合される.
漢方
処方例
茵蔯蒿湯(いんちんこうとう),茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)
 構成生薬のうち,茵蔯蒿・山梔子の組み合わせで,利胆,消炎を期待して,黄疸,皮膚のかゆみに用いる.

貯法 密閉容器
備考 第17改正日本薬局方 第一追補で漢字表記に修正があった.(茵蔯蒿 → 茵陳蒿)
第17改正日本薬局方 第二追補で性状について修正があった.(花序軸 → 小花の柄)

情報更新日 2022/05/14

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