公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

薬用動植物国内栽培事業

福井県高浜町 Takahama Town

福井県高浜町は若狭湾の最も西に位置し、青葉山(若狭富士)をはじめとする山々そして海に恵まれた町で、平成27(2015)年3月、連携協定が調印されました。
生薬生産に限定されない薬用植物の活用で、農業(1次産業)から発展させた6次(=1x2x3)産業化を推進していることも特色となっています。

 

高浜町における栽培品目

生薬生産用としてゴシュユ、コウホネ、シャクヤク、キキョウ、セリバオウレン、ジャノヒゲ
食品用等としてハトムギ、エビスグサ、ミシマサイコ、ヤマトトウキ、ハマボウフウ
太字は出荷実績あり:試験出荷含む)

 

伝承の薬草が、令和の世に活きる

上記栽培品目のうち、ゴシュユとコウホネは、連携協定以前から町内に生育していました。
ゴシュユは、かつて地権者の方がお子さんの健やかな成長を願って植えたもので、コウホネは地権者のご先祖が藩医をされていて長崎から持ち帰ったものと言われており、高浜町では古くから薬草・薬木に親しんできた風土が伺えます。


1,000m2に及ぶ「ゴシュユの森」(高浜町提供)


水路に育つコウホネ

 

町と地元有志の協力体制

高浜町の栽培事業は、地元有志による青葉山麓研究所が設立され、町と共同で取り組んでいます。
また、事業推進には良質な苗の安定供給が必須です。そのための拠点として、平成29年度には広さ約3,000m2の敷地を有する薬草育苗センターが整備されました。


薬草育苗センター外観


修治棟でのセンコツの修治(高浜町提供)

薬草育苗センターには融雪装置付ハウス2棟(育苗棟・修治棟)が設置されています。 育苗棟には10万株分の育苗棚が整備され、現在、ミシマサイコ、セリバオウレン、キキョウ等の育苗が手がけられています。 修治棟は保冷庫、乾燥機、作業棚などを備え、ゴシュユ、コウホネ(センコツ)、キキョウ等の修治が行われています。
センターでは町立中学校生徒の職場体験も受け入れており、町の未来を担う世代への興味・関心の醸成にも寄与しています。

 

植物資源の多方面活用と6次産業化

高浜町で栽培されているミシマサイコからは、食薬区分において食品に使用可能なの部分を用いた薬草茶が作られています。 またハトムギやエビスグサなどは食品や茶としての活用を主眼に栽培されており、それら薬草を用いた家庭向きの料理レシピの講座も開かれて、普及啓発を推進しています。 加えてゴシュユもまた、薬用としての出荷のほか、邪気を払うお守り「茱萸囊」(しゅゆのう)の形でも提供されています。
このように、生薬生産に限定されない形での多角的な用途の実用化は6次産業化の実践例となり、高浜町の栽培事業を特筆するものとなっています。


ミシマサイコの圃場

 

事業開始から5年ほどが経過すると、水稲農家も薬草に目を向けるようになってきました。
育苗センターの整備で良質な種苗が提供可能となって、そういった意欲ある農家も参入もしやすく、6次産業化によって多様な出荷のあり方が提供されていることで、農家にもメリットが還元されるしくみが構築されつつあります。
高浜町では、将来的に町内耕作地の約3割(100ha)で薬草を栽培し、国内産生薬を身近にしていきたいという将来像を描いており、そのビジョンを見据えた取り組みが進んでいます。

 

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