新常用和漢薬集
名称 |
カンゾウ
(甘草)
第十七改正日本薬局方 収載
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英名 | Glycyrrhiza | 生薬ラテン名 | GLYCYRRHIZAE RADIX |
![]() 生薬名:カンゾウ |
![]() 植物名:ウラルカンゾウ |
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基原 | Glycyrrhiza uralensis Fischer又は Glycyrrhiza glabra Linné (Leguminosae マメ科)の根及びストロンで、ときには周皮を除いたもの(皮去りカンゾウ)である。 | ||
調製 | 10月頃の落葉時に掘り上げ、芽、小根を除き根とストロンに分け、陽光で乾燥(皮付き)又は乾燥前にコルク層を剥ぐか、刃物で削去(皮去り甘草)する。 | ||
産地 | 中国(内蒙古、新疆ウイグル、寧夏回族自治区、甘粛省)、ロシア、アフガニスタン、イラン、パキスタン | ||
性状 |
ほぼ円柱形を呈し、径0.5 ~ 3.0 cm、長さ1 m以上に及ぶ。外面は暗褐色~赤褐色で縦じわがあり、しばしば皮目、小芽及びりん片葉を付ける。周皮を除いたものは外面が淡黄色で繊維性である。横切面では、皮部と木部の境界がほぼ明らかで、放射状の構造を現し、しばしば放射状に裂け目がある。ストロンに基づくものでは髄を認めるが、根に基づくものではこれを認めない。 弱いにおいがあり、味は甘い。 |
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成分 |
トリテルペン配糖体:glycyrrhizin(glycyrrhetinic acid)、glycyrrhetic acid 、glabric acid フラボノイド類:liquiritin、liquiritin apioside、liquiritigenin、isoliquiritin、licoricidin、glycyrol、formononetin、licoricone その他:ポリアミンなど |
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選品 | 換算した生薬の乾燥物に対し、グリチルリチン酸(C42H62O16: 822.93)2.0%以上を含み甘味が強く、ほとんど苦味のないものが良品である。 | ||
適応 |
漢方処方用薬:滋養・調和・緩和・消炎・去痰作用があり、およそ7割の薬方に配合される。 生薬製剤:抗胃潰瘍・肝機能改善作用があり、単味またはカンゾウ成分の製剤として使用される。 その他:グリチルリチン酸の原料。 |
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漢方 処方例 |
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)、四逆散(しぎゃくさん) 桂枝甘草湯(けいしかんぞうとう)、炙甘草湯(しゃかんぞうとう) 大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)、調胃承気湯(ちょういじょうきとう) 甘草麻黄湯(かんぞうまおうとう) 桔梗甘草湯(ききょうかんぞうとう)、排膿散(はいのうさん) 人参湯(にんじんとう)、甘草瀉心湯(かんぞうしゃしんとう) 茯苓甘草湯(ぶくりょうかんぞうとう)、酸棗仁湯(さんそうにんとう) |
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貯法 | 密閉容器 | ||
備考 |
Glycyrrhiza uralensis を基原とするものを東北甘草(別名:ウラルカンゾウ)と称し、西北甘草Glycyrrhiza glabraの一部も基原としている。 G. glabra には変種が多く、スペイン甘草 var. typical、ロシア甘草 var. glandulifera、ペルシャ甘草var. violacea、var. pallida などがある。 また、G. inflata を基原とする新疆甘草(公定書外)はグリチルリチン酸の製造原料として輸入されている。 多量の服用で浮腫、高血圧、低カリウム血症、偽アルドステロン症など起きることがあり、使用にあたっては充分な注意が必要である。 甘草は生薬として使用されるだけでなく、医療用医薬品の原料としても用いられている。また、食品の甘味料としての需用が多い。 |
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情報更新日 2017/03/01 |