公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

新常用和漢薬集

名称
シャクヤク (芍薬)
第十八改正日本薬局方 収載
英名 Peony Root 生薬ラテン名 PAEONIAE RADIX
シャクヤク
生薬名:シャクヤク
シャクヤク
植物名:シャクヤク
基原 シャクヤク Paeonia lactiflora Pallas (Paeoniaceae ボタン科)の根
定量するとき,換算した生薬の乾燥物に対し,ペオニフロリン(C23H28O11):480.46)2.0%以上を含む
調製 9~12月にかけて堀出し,根をそのまま水洗いし,周皮を除き乾燥する.
産地 日本(奈良,群馬,新潟,青森,岩手,長野,富山,和歌山,高知県,北海道),中国(浙江,安徽,河北,四川省,内蒙古自治区)
性状 円柱形を呈し,長さ7 ~ 20 cm,径1 ~ 2.5 cm,外面は褐色 ~ 淡灰褐色で,明らかな縦じわ及びいぼ状の側根の跡と横長の皮目がある.横切面は緻密で淡灰褐色を呈し,木部は淡褐色の放射状の線がある.
特異なにおいがあり,味は初め僅かに甘く,後に渋くて僅かに苦い.
成分 モノテルペノイド類:paeoniflorin(日局18確認,定量), albiflorinなど
ガロタンニン:penta-galloylglucose, hexa-galloylglucose, hepta-galloylglucose
その他:paeonol, benzoic acidなど
選品 太くて内部が充実し,やや柔軟性を帯び,内部が微赤色~白色を呈し,収れん性と,僅かな苦味があり,特有のにおいが強いものが良い.
適応 収斂・鎮痙作用による腹痛,筋肉痛,下痢などの薬方に配合される.
漢方
処方例

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
構成生薬のうち,芍薬,甘草の組合せで,急性の腹痛,こむら返りなどに用いる.

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
構成生薬のうち,芍薬,当帰,川芎(せんきゅう)の組合せで,補血・鎮痛作用を強める.

貯法 密閉容器
備考 白芍(びゃくしゃく)とも呼ばれる.
基原植物として, 近縁植物の Paeonia veitchii, P. obovataも用いられていたことがある.
赤芍(せきしゃく),真芍(しんしゃく)は品質が劣り正品ではないとされる.
日本漢方では,一般に赤芍を使わない.
中国では,シャクヤクの栽培品で沸騰水中で煮て皮去りしたものを白芍,皮付きの野生品と P. veitchii から調製したものを赤芍としている.

情報更新日 2022/05/16

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