薬用動植物国内栽培事業
秋田県八峰町 Happo Town
八峰町は秋田県北西部に位置し、西は日本海に面し、東は世界遺産・白神山地に続く立地にあって、豊かな植物相が保たれ薬用植物の栽培に好適な環境を有しています。
連携協定を締結している自治体のなかでも最も早く、2012(平成24)年6月より栽培事業に取り組んでいます。
八峰町 圃場風景
収穫適期のカミツレ
八峰町における栽培品目
カミツレ、キキョウ、シャクヤク、ウイキョウ、カノコソウ、ハマボウフウ他
(太字は出荷実績あり)
カミツレは既に試験栽培段階を終えて生産組合主導で出荷管理する体制が整い、キキョウは町の重点品目として単収増大と作業効率化の試験を継続中です。
データを活用した課題解決
持続可能な生産を軌道に乗せるには、省力化・効率化がカギとなります。八峰町では生産性のデータを収集・最適化し、システマティックな方法でこれを実現しています。
カミツレは最も収穫効率の良い6月上旬に集中して収穫、ガラス温室内に設けられた専用の施設で、乾燥中の異物混入を防ぐ生産体制を構築しており、キキョウの圃場では白マルチ設置により畝上の雑草処理作業の軽減という成果を上げています。キキョウではさらに施肥や摘花作業の効率化も研究中とのことです。
厳重な管理下でのカミツレの乾燥
キキョウは白マルチの有無で生育差も歴然
これらの方法論の策定にあたっては、まず町が試験栽培してデータを収集し、最適な条件を見出してきました。得られたデータをマニュアルに落とし込み、農家栽培普及を進めるという方法が取られています。
「データによる管理」というと冷たい印象を持たれるかもしれませんが、実際には根拠のある理論的な説明が可能になることから農家との信頼関係が構築でき、町と生産者のコミュニケーションも円滑に進むといったプラスの効果が得られています。
修治の効率化
収穫した薬用植物は、そのままでは生薬とは呼べません。生薬として通用するには、選別・乾燥・皮去り・切砕など、生薬の種類ごとの加工工程が必要です。これを修治(しゅうち、しゅうじ)と呼びますが、自動化の難しい工程もあって、修治をいかに効率的に行うかは、生薬生産において大きな課題です。
八峰町では(株)龍角散からの寄附金を活用してトラクター、畝立機、掘取機、皮剥機等を導入し、調製作業場を建設し、レーンを設けて完全分業化した修治作業場によって作業効率を前年の3倍近くまで上げることに成功しています。
キキョウ調製作業場内の模様
八峰町の薬用植物栽培事業は、産業として一層の発展を遂げており、さらなる進化が期待されます。