新常用和漢薬集
名称 |
キジツ
(枳実)
第十七改正日本薬局方 収載
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別名 | 枳殻 | ||
英名 | Immature Orange | 生薬ラテン名 | AURANTII FRUCTUS IMMATURUS |
![]() 生薬名:キジツ |
![]() 植物名:ダイダイ |
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基原 | ダイダイCitrus aurantium Linné var. daidai Makino、Citrus aurantium Linné 又はナツミカンCitrus natsudaidai Hayata (Rutaceae ミカン科)の未熟果実をそのまま又はそれを半分に横切したものである。 | ||
調製 | 5 ~ 6月に未熟果実(摘果品)を採集し、そのまま乾燥する。又は半分に輪切りにして天日或いは温風で乾燥する。 | ||
産地 | 日本(和歌山・広島・愛媛県)、中国(四川・江西省)で栽培。 | ||
性状 | ほぼ球形で径1~2 cm 、又は半球形で径1.5~4.5 cmである。外面は濃緑褐色~褐色でつやがなく、油室による多数のくぼんだ小点がある。横切面は周辺が厚さ約 0.4 cm の外果皮 及び中果皮からなり、表皮に接する部分は黄褐色、その他は淡灰褐色を呈する。中心部は放射状に 8 ~ 16 個の小室に分かれ、各室は褐色を呈してくぼみ、しばしば未熟の種子を含む。特異なにおいがあり、味は苦い。 | ||
成分 |
精油:d-limoneneなど フラボノイド:hesperidin、naringin、neohesperidin、sinensetin、nobiletin、3, 3’,4’, 5, 6, 7, 8-heptamethoxyflavoneなど その他:phlorin |
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選品 | 芳香性で果皮が厚く、苦味の強いものが良品とされている。 | ||
適応 |
漢方処方用薬:利気・健胃・化痰(けたん)・便通作用があり、胸腹部の膨満感や痛み、便秘などを改善する薬方に配合される。 生薬製剤:芳香性健胃薬。 |
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漢方 処方例 |
大柴胡湯(だいさいことう)、四逆散(しぎゃくさん) 排膿散(はいのうさん) 麻子仁丸(ましにんがん)、潤腸湯(じゅんちょうとう) 大承気湯(だいじょうきとう)、小承気湯(しょうじょうきとう) 茯苓飲(ぶくりょういん) 枳実薤白桂枝湯(きじつがいはくけいしとう) |
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貯法 | 密閉容器 | ||
備考 |
形状によって、小割、久丸(きゅうまる)、青切、赤切などの名があった。 基原植物のCitrus aurantium は中国では酸橙(さんとう)と呼ばれ、四川・江西省で栽培されている。 この種の亜種のハッサク C. aurantium subsp. hassaku (= C. hassaku) も基原植物に含まれる。 |
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情報更新日 2017/03/21 |