公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

新常用和漢薬集

名称
トウキ (当帰)
第十八改正日本薬局方 収載
英名 Japanese Angelica Root 生薬ラテン名 ANGELICAE ACUTILOBAE RADIX
トウキ
生薬名:トウキ
トウキ,ホッカイトウキ
植物名:トウキ,ホッカイトウキ
基原 トウキ Angelica acutiloba Kitagawa 又はホッカイトウキ Angelica acutiloba Kitagawa var. sugiyamae Hikino (Umbelliferae セリ科)の根を,通例,湯通ししたもの
調製 秋に掘りとり4 ~ 5本を一束とし,茎葉を付けたままの状態にして,藁縄で一括りし,上部の葉を切り落として稲架(はさ)に掛け,翌年の2月頃まで放置し,乾燥させる.2月の晴天の暖かい日を選び,湯揉み洗いをする.たらい又は桶を用意し,70 ~ 80℃の湯を入れ,まな板様の板を用意し,この上に稲架の当帰を置き,丁寧に根の先端から基部にかけて両手で揉む.根の間の土や小石を落とし,きれいな馬尾状(ばびじょう)に形を整え,再び稲架に掛けて乾燥する.又,北海道では10月~11月に掘りとり,土を除去したのち水洗し,風乾又は加熱乾燥して仕上げる.
産地 日本(群馬・岩手・青森・奈良・和歌山県,北海道),中国で栽培
性状 太くて短い主根から多数の根を分枝して,ほぼ紡錘形を呈し,長さ10 ~ 25 cm,外面は暗褐色 ~ 赤褐色で,縦じわおよび横長に隆起した多数の細根の跡がある.根頭に僅かに葉鞘を残している.折面は暗褐色 ~ 黄褐色を呈し,平らである.
特異なにおいがあり,味は僅かに甘く,後にやや辛い.
成分 精油:Z-ligustilide(日局18確認), butylidene phthalide, butylphthalide, safrole, isosafrole, bergapteneなど
ポリアセチレン化合物:falcarinol, falcarindiol, falcarinolone
クマリン類:scopoletin(日局18確認), umbelliferone
その他:vanillic acid, choline, 多糖物質、β-carboline 誘導体など
選品 肉質が充実し,枝根が少なく,柔軟で芳香があり,辛味が強く,甘味のあるものが良い.主根が木質化したものや,脆いものは不良品である.
適応 生理異常,貧血,自律神経の乱れなどを改善する薬方に配合される.
家庭薬の婦人薬(実母散,中将湯など)の主薬として配合される.
漢方
処方例

当帰芍薬散四物湯
構成生薬のうち,当帰・川芎(せんきゅう)の組み合わせで冷え,貧血,生理不順などに作用する.

当帰建中湯疎経活血湯(そけいかっけつとう)
構成生薬のうち,当帰,芍薬の組み合わせで腹痛,腰痛などの痛みに作用する.

潤腸湯(じゅんちょうとう)
構成生薬のうち,当帰,大黄,杏仁,桃仁などの組み合わせで便秘に作用する.

内托散(ないたくさん)
構成生薬のうち,当帰,黄耆の組み合わせで気血不足による諸症状を改善する.

貯法 密閉容器
備考 唐当帰(中国産当帰),および韓当帰(韓国産当帰)は基原植物が異なり,該当しない.

情報更新日 2022/08/02

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