公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

新常用和漢薬集

名称
シコン (紫根)
第十八改正日本薬局方 収載
英名 Lithospermum Root 生薬ラテン名 LITHOSPERMI RADIX
シコン
生薬名:シコン
ムラサキ
植物名:ムラサキ
基原 ムラサキ Lithospermum erythrorhizon Siebold et Zuccarini( Boraginaceae ムラサキ科)の根
調製 5 ~ 10 月に根を堀り上げ,日干しにする.乾いたら泥をたたき落すようにして除き,水洗いはしない.
産地 中国(東北,華北の諸省),韓国
性状 やや細長い円錐形を呈し,しばしば分枝し,長さ 6 ~ 10 cm,径 0.5~1.5 cmである.外面は暗紫色を呈し,粗雑で薄く剥がれやすい.多くはねじれた深い縦溝があり,ときには木部まで達する.根頭には茎の残基を付けていることがある.折りやすく,折面は粒状で,裂け目が多い.
横切面をルーペ視するとき,皮部の外側は暗紫色で,内側の淡褐色の部分は不規則な波状を呈し,木部は類黄色である.根頭部の中央はしばしば裂け目となり,その周辺は赤紫色を呈する.
弱いにおいがあり,味は僅かに甘い.
成分 ナフトキノン系色素:shikonin,acetylshikonin,β,β-dimethylacrylshikonin,isobutyl shikonin
カフェー酸誘導体:rosmarinic acid,lithospermic acid
選品 土砂が付着せず,外面が暗紫色で不整に分枝し,皮部の厚いものが良品である.
適応 1)消炎,肉芽増殖・抗菌作用があり軟膏として外傷,やけど,あかぎれ,しもや け,ひび,痔などに外用する.
2)解熱・解毒・抗腫瘍作用があり,白血病・乳がんなどに用いる煎剤に配合され る.
漢方
処方例

紫雲膏
構成生薬のうち,紫根,当帰の組み合わせで,肉芽増殖,抗菌作用を期待して,外傷,やけど,ひび,あかぎれなどに外用する.

貯法 密閉容器,虫がつきやすいので,低温保存する.
備考 染料の古代紫としての用途もある.藍染,紅花染と並ぶ日本三大染料の一つとされる.
軟紫根(西北紫根):同科の Arnebia euchroma I.M.Johnston ( Macrotomia euchroma Paulsen)の根.質は軽く軟らかい.鱗片状になったコルク層はきわめて剥がれやすい.ナフトキノン類の主成分はalkanninでshikoninの鏡像体である.
中国薬典2020に紫草の名で Arnebia euchromaA. guttata の2種が収載され,製剤として紫草軟膏も収載される.
これらの種は日本には自生がなく,ムラサキが染料に利用されてきた.

情報更新日 2023/09/18

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