公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

新常用和漢薬集

名称
ジオウ (地黄)
第十八改正日本薬局方 収載
英名 Rehmannia Root 生薬ラテン名 REHMANNIAE RADIX
ジオウ
生薬名:ジオウ
アカヤジオウ,Rehmannia glutinosa
植物名:アカヤジオウ,Rehmannia glutinosa
基原 アカヤジオウRehmannia glutinosa Liboschitz var. purpurea Makino又はRehmannia glutinosa Liboschitz (Scrophulariaceae ゴマノハグサ科)の根(乾ジオウ)又はそれを蒸したもの(熟ジオウ)
調製 11月下旬~12月ごろ,根を掘りあげ水で洗い,日干ししたものを乾地黄(かんじおう).
蒸して乾燥したものを熟地黄(じゅくじおう).
日局では用いられないが,生根そのままを生地黄(しょうじおう)(鮮地黄)とする.
産地 日本(北海道,奈良,長野県),中国(河南・浙江・河北・安徽・四川省),韓国
性状 1) 乾ジオウ 一端若しくは両端が細くなった塊状又は紡錘形を呈し,長さ5 ~ 10 cm,径0.5 ~ 3.0 cmで,ときに折れ,又は著しく変形している.外面は黄褐色,黒褐色又は黒色を呈し,深い縦溝及びくびれがある.質は柔らかい.横切面は黄褐色,黒褐色又は黒色で,周辺部ほど色が濃い.
特異なにおいがあり,味は初め僅かに甘く,後にやや苦い.
2) 熟ジオウ 不規則な塊状,一端若しくは両端が細くなった塊状又は紡錘形を呈し,長さ5 ~ 10 cm,径0.5 ~ 3.0 cmである.外面は黒色を呈し,通例光沢があり,深い縦溝及びくびれがある.質は柔らかく粘性である.横切面は黒色である.
特異なにおいがあり,味は初め甘く,後に僅かに苦い.
成分 イリドイド配糖体:catalpol, aucubin
糖類:stachyose(乾ジオウ,日局18確認), manninotriose及びfructose(熟ジオウ,日局18確認)
その他:アミノ酸など
選品 肥大し,味甘く,わずかに苦いものが良い.熟地黄は外面漆黒色のものが良い.
適応 補精・強壮・止血作用があり,糖尿病,諸出血,貧血,便秘などを改善する薬方に配合される.
漢方
処方例

滋陰降火湯(じいんこうかとう)
構成生薬のうち,熟地黄,黄芩(おうごん)の組み合わせにより,慢性的な乾いた咳を治療する.

八味地黄丸(はちみじおうがん),牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)などの腎気丸類
構成生薬のうち,地黄,山薬,山茱萸の組み合わせにより,泌尿,生殖器の失調による全身の倦怠感や口渇,足腰のだるさ,のぼせ,腰痛,視力の減退,耳鳴りなどに用いる.

三物黄芩湯(さんもつおうごんとう)
構成生薬のうち,熟地黄,黄芩(おうごん)の組み合わせで消炎作用により,口乾,不眠,皮膚のほてり,かゆみを改善する.

潤腸湯(じゅんちょうとう)
構成生薬のうち,熟地黄,麻子仁,桃仁などの潤薬との組み合わせにより,高齢者などの慢性便秘に使われる.

当帰飲子(とうきいんし)
構成生薬のうち,熟地黄,防風の組み合わせにより,乾燥性の皮膚のかゆみに使用される.

四物湯(しもつとう)
構成生薬のうち,乾地黄,芍薬の組み合わせで,血虚によるめまい,生理出血の少ないものを治療する.

芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)
構成生薬のうち,乾地黄,阿膠(あきょう),艾葉(がいよう)の組み合わせにより,止血作用を増強する.

貯法 密閉容器.
備考 市場にはまれに,生地黄,鮮地黄として乾燥しない生のままの鮮品(日局外品)が見られるが,時期などが限定される.
生地黄は砂の中に保存する.
乾地黄と熟地黄は薬効にやや違いがあるとされ使い分けられる.
同類生薬として懐慶地黄(かいけいじおう)Rehmannia glutinosa forma hueichingensis(ゴマノハグサ科)がある.

情報更新日 2022/05/16

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