公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

新常用和漢薬集

名称
サイコ (柴胡)
第十八改正日本薬局方 収載
英名 Bupleurum Root 生薬ラテン名 BUPLEURI RADIX
サイコ
生薬名:サイコ
ミシマサイコ
植物名:ミシマサイコ
基原 ミシマサイコBupleurum falcatum Linné(Umbelliferae セリ科)の根
定量するとき,換算した生薬の乾燥物に対し,総サポニン(サイコサポニンa及びサイコサポニンd) 0.35%以上を含む
調製 秋に掘り起こし水洗して乾燥する.
産地 日本(宮崎,鹿児島,熊本,茨城県)及び中国で栽培
性状 細長い円錐形 ~ 円柱形を呈し,単一または分枝し,長さ10 ~ 20 cm,径0.5 ~ 1.5 cm,根頭には茎の基部を付けていることがある.外面は淡褐色 ~ 褐色で,深いしわがあるものがある.折りやすく,折面はやや繊維性である.横切面をルーペ視するとき,皮部の厚さは半径の1/3 ~ 1/2で,皮部にはしばしば接線方向に長い裂け目がある.
特異なにおいがあり,味は僅かに苦い.
成分 サポニン:saikosaponin a ~ f(a,d 日局18確認,定量)
サポゲニン:saikogenin E ~ G
フィトステロール類:α-spinasterol, stigmasterol, stigmastenol
選品 外面は灰黒褐色,内部は黄白色を呈し,なるべく直根で湿り気があって油くさくない新鮮なものが良い.
適応 往来寒熱胸脇苦満などを目標に少陽病の主薬とされる.
肝気の鬱結により起こる症状(眩暈,耳鳴り,感情の昂りなど)を改善する.
内臓下垂(胃,子宮,直腸など)している状態を改善する(昇提).
漢方
処方例

柴胡剤
構成生薬のうち,柴胡,黄芩(おうごん)の組合せで往来寒熱胸脇苦満などを目標に少陽病の主薬とされる.

抑肝散(よくかんさん)
構成生薬のうち,柴胡,釣藤鈎 の組合せで肝気の鬱結により起こる症状を改善する.

乙字湯(おつじとう),補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
構成生薬のうち,柴胡,升麻の組合せで内臓下垂している状態を改善する.

貯法 密閉容器
備考 中国には近縁植物で,日局正品のマンシュウミシマサイコBupleurum chinense(北柴胡),B. scorzonerifolium(南柴胡),日局正品でない
B. mariginatum(竹葉柴胡),ホタルサイコB. longiradiatum などが分布する.
カワラサイコPotentilla chinensisRosaceae バラ科),前胡(Peucedanum praeruptorumPeucedanum decursivumAngelica decursiva ) は正品ではない.

情報更新日 2022/05/16

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